医療関係者の方へ

在院日数の短縮化に伴い、医療依存度の高い在宅療養者や、在宅での終末期を迎える事を望む方が増えています。このコンテンツを利用し、医療機関と訪問看護とのよりよい連携、切れ間のない看護の提供に寄与できればと思います。医療機関と訪問看護が協働し、広いネットワークのもと、在宅医療者の健康をサポートしていきましょう。

訪問看護サービス利用のメリット

  1. 医学的視点に基づいた判断と予後予測が可能です!
  2. 合併症の予防や病状の悪化を防止することができます!
  3. 病状の不安定な方にも安全なケアや支援が提供できます!
  4. 医学的根拠に基づいた介護予防や自立支援が実施できます!
  5. 在宅生活における介護指導や環境整備を支援できます!
  6. 在宅での看取りを支援します!
  7. 在宅で医療行為が実施できます!

医療関係者と訪問看護ステーションとの連携上のポイント

(1)訪問看護の必要性の判断は、入院時から!

  • 訪問看護の必要性の判断は、入院時から必要です。

(2)入院中に病院看護師さんには、こんなことをお願いしたい!

  • 在宅での生活を安心して迎えられるよう、患者の自立度を高める看護
  • 退院後の生活を具体的にイメージして、個別性があり、在宅療養に役立つ退院指導を早めに実施(病気の管理、服薬管理、生活指導、介護指導等)
  • 要介護認定の申請や身体障害者手帳の取得など、必要な制度利用のための支援
  • 退院日から次にケアが入る日までの間を安全に過ごせる配慮

(3)退院前に訪問看護師は、こんなことを行いたい!

  • 退院前カンファレンスへの参加
  • 訪問看護師の退院前訪問の実施

(4)訪問看護依頼時には、このような情報が欲しい!

  • 患者さんの基本情報
  • 患者さんの身体症状
  • 生活支援の必要性
  • 介護力や家族の状況
  • 病名、病状(場合によっては予後)
  • 医療処置の必要性と内容
  • 訪問看護に依頼したい内容

(5)医療処置が必要な患者さんが退院する時には!

  • 医療依存度が高い患者の場合は、退院前に在宅ケアを支える機関と連絡をとり、退院後の医療環境の調整、医療材料の調達、家族も含めた処置指導を行ってください。
  • 病院で処方される物品と在宅で準備する物品を明確にしてください。
  • 退院後の生活に合わせ、使用する機器や物品で介護指導をしてください。(在宅では、病院での指導内容をもとに支援しています。)
  • 退院時に持ち帰る物品は、次回受診や往診時までに足りる量を出してください。

(6)ケアマネジャーからの相談もあります!

  • 介護保険における居宅サービス計画(ケアプラン)の中に医療系のサービス(訪問看護、訪問リハビリテーションなど)を位置づける場合には、ケアマネジャーは、利用者・家族に同意を得て主治医に意見を求めることになっています。

(7)退院後も訪問看護指示書を継続して出していただく時は!

  • 医療機関内の決まり事をご連絡ください。

(8)複数の医療機関や診療科を受診している利用者への対応は!

  • 利用者に主として診療を行う医師が「主治医」として訪問看護指示書を交付するのが原則です。(訪問看護指示書を交付する医師は一人です。)
  • 主治医である医師が他の医師の指示を集約して訪問看護指示書を記載します。(「診療情報提供書」の活用が推奨されています。)
  • 特別訪問看護指示書は、通常の訪問看護指示書を交付している医師が交付することになります。

(9)訪問看護には、介護保険と医療保険の対象者の違いがあります!

  • 訪問看護が介護保険対象か医療保険対象かで、利用者負担金が違ってきます。
  • 介護保険対象者と医療保険対象者の区別は、次のようになっています。

介護保険の訪問看護の対象者

要介護認定の申請を行い、要介護者または要支援者の認定を受けた方で、主治医が訪問看護の必要を認めた人

医療保険の訪問看護の対象者

  1. 介護保険の要介護者等でない人(未申請、非該当、40歳未満)
  2. 介護保険の要介護者等で次に該当する人
    1. 厚生労働大臣が定める疾病等(下記)の人(訪問看護指示書に病名が書かれていること)

      末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって生活機能障害度がII度またはIII度のものに限る))、多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、後天性免疫不全症候群、頚髄損傷及び人工呼吸器を使用している状態

    2. 急性増悪等により一時的に頻回の訪問看護が必要であると主治医が認めた人
      →主治医が「特別訪問看護指示書」を発行した場合
    3. 精神障害者の社会復帰施設等の複数の入所者に対し同時に行う訪問看護

(10)訪問看護の介護保険と医療保険の制度には違いがあります!

事項 介護保険 医療保険
同一利用者に対する複数のステーションによる訪問看護 ◆2ヶ所以上のステーションから提供可能 ◆同月に3ヶ所までのステーションから提供可能な場合
厚生労働大臣が定める疾病等
週7日の指定訪問看護を計画
◆同月に2ヶ所までのステーションから提供可能な場合
厚生労働大臣が定める疾病等
特別訪問看護指示書交付期間中
週4日の指定訪問看護を計画
※訪問看護指示書は事業所ごとに交付(指示料の算定は利用者1人に月1回)
訪問回数の制限 ◆1日・1週間ともに規定なし
(居宅サービス計画に基づく)
◆原則、週3日が限度
◆厚生労働大臣の定める疾病等、特別訪問看護指示書交付期間中は回数制限なく、難病等複数回訪問加算の算定も可能
休日・時間外の訪問看護に対する差額料金 差額料金は徴収できない
◆早朝・夜間・深夜加算の算定
居宅サービス計画に位置づけられている場合
月2回目の緊急訪問の場合
※月1回目の緊急訪問の場合は算定できない
◆「その他の利用料」として、ステーションが定める額を利用者から徴収できる
交通費の徴収 通常の訪問エリアへ訪問する場合は、交通費は介護報酬(訪問看護費)に含まれるため、徴収できない
◆通常の訪問エリアを越える訪問の場合は、実費相当額を徴収できる
◆「その他の利用料」として、ステーションが定める額(実費相当額)を利用者から徴収できる

訪問看護の費用について

  • 各種保険(医療保険、介護保険、公費負担医療など)が使えます。
  • 利用する保険によって、利用料金や自己負担金は異なります。
  • 緊急の場合の連絡対応など、特別な対応を契約される場合には料金体系が変わります。
  • 身体障害者の医療受給者や特定疾患の医療受給者など、公費対象の方の場合は利用金額が免除もしくは減額されます(お住まいの市町村によって違いがあります)。
医療保険 料金表

医療保険 料金表(169KB)

介護保険 料金表

介護保険 料金表(62.3KB)

訪問看護指示書について

  • 訪問看護の利用対象者は、その主治医が指定訪問看護の必要性を認めたものに限られます。そのため、訪問看護ステーションは、訪問看護の提供の開始に際しては、利用者の主治医が発行する「訪問看護指示書」の交付を受ける必要があります。
  • 訪問看護の実施に当たっては、慎重な状況判断が要求されることを踏まえ、主治医との密接な連携を図ることが重要です。適切な訪問看護を提供するために、定期的に「訪問看護計画書」および「訪問看護報告書」を主治医に提出します。

訪問看護指示書の種類

(1)訪問看護指示書

通常使用される訪問看護指示書で、月1回主治医が『300点』を算定できます。

(2)特別訪問看護指示書

患者の急性増悪などにより、頻回の訪問看護が必要になった場合に交付し、月1回主治医が『100点』を算定できます。ただし、「気管カニューレを使用している状態にある者」「真皮を越える褥瘡の状態にある者」については、月2回まで交付できます。

(3)在宅患者訪問点滴注射指示書

週3日以上の点滴注射を行う必要を認め、訪問看護ステーションに対して指示を行う場合に交付し、主治医が『60点』を算定でき、患者1人につき週1回(指示期間7日以内)に限り、月に何回でも交付できます。

(4)精神訪問看護指示書

精神障害者社会復帰施設等において、同時に複数(8人まで)の患者に訪問看護を行う場合(訪問看護ステーションが訪問看護基本療養費(Ⅱ)を算定)に交付し、月1回主治医が『300点』を算定できます。

訪問看護に関連する診療報酬について

1. 訪問看護指示料 300点

居宅で療養を行っている通院が困難な患者の主治医が診療に基づいて、訪問看護ステーションに対して訪問看護指示書を交付した場合に算定できます。算定は患者1人につき月1回に限られます。有効期間については主治医が6ヶ月以内の月日を記載しますが、患者の病状等に応じてその期間は変更できます。

2. 特別訪問看護指示加算 100点

患者の主治医が診療に基づいて、病状の急性増悪や終末期などにより、一時的に週4回以上の頻回な訪問看護の必要性を認め、その旨を記載した特別訪問看護指示書を訪問看護ステーションに交付した場合に、上記の訪問看護指示料の加算点数として特別訪問看護指示加算を算定する事ができます。この加算は月1回に限って算定できます。ただし、厚生労働大臣が定める者(「気管カニューレを使用している状態にある者」「真皮を越える褥瘡の状態にある者)については、月2回算定できます。

3. 在宅患者訪問点滴注射管理指導料 60点

居宅で療養を行っている通院困難な患者の主治医が、診療に基づき、週3日以上の点滴注射を行う必要性を認め、訪問看護ステーションに在宅患者訪問点滴注射指示書(訪問看護・特別訪問看護指示書と共通様式)に指示期間(診療日から7日以内に限る)と指示内容を記載して指示を行った場合に算定できます。
1週間のうち、3日以上点滴注射を実施した場合に3日目に60点を、週1回にかぎり保険医療機関が算定します。この場合、保険医療機関は点滴注射と併せて使用する薬剤・回路など必要十分な保険医療材料や衛生材料を供与する必要があり、薬剤以外の費用がこの指導料に含まれます。

4.在宅患者連携指導料 900点

訪問診療を実施している保険医療機関が患者の同意を得て訪問看護ステーションなどの医療関係職種間で文書により情報を共有し、その情報を踏まえて療養上必要な指導を行った場合に算定できます。情報共有は月2回以上文書など(電子メール、ファックスでも可)で行い、月1回に限り算定できます。ただし、特別の関係にある保険医療機関等の医療関係職種のみで診療情報を交換した場合は算定できません。
注:訪問看護指示書を出している訪問看護ステーションとの情報共有の場合は算定できません。(H20.3.28 医療課事務連絡)

5. 在宅患者緊急時等カンファレンス料 200点

訪問診療を実施している保険医療機関が在宅療養を行っている患者の状態の急変等に伴い、保険医の求めにより歯科医師等、薬剤師、訪問看護師等又は居宅介護支援専門員と共同で患家に赴きカンファレンスを行い、又は参加し、それらのものと共同で療養上必要な指導を行った場合に月2回に限り算定できます。ただし、特別の関係にある保険医療機関等の医療関係職種等のみでカンファレンスを行った場合は算定できません。
注:患者・家族が希望する場合は患家以外の場所でも算定は可能です。
注:訪問看護指示書を出している訪問看護ステーションと2者でカンファレンスを行った場合も算定できます。(H20.3.28 医療課事務連絡)

6. 退院時共同指導料

入院中の患者が退院するに当たり、入院中の医療機関の保険医(看護師等)と退院後に在宅療養を担う医療機関の保険医(看護師等)及び訪問看護ステーションの看護師等が、共同して居宅における療養上必要な指導を行った場合、入院中1回に限り算定できます。ただし、「厚生労働大臣が定める疾病等」の患者については入院中2回に限り算定できます。 ※介護老人保健施設も同様

在宅療養支援診療所の場合 それ以外の場合
退院時共同指導料 1
(紹介元の医療機関が算定)
1,000点 600点
退院時共同指導料 2
(入院先の病院が算定)
300点+加算(下記(1)又は(2))
(1)保険医同士の共同指導の場合300点加算
(2)退院後の保険医療機関の医師(看護師等)、歯科医師(歯科衛生士)、薬剤師、訪問看護師、介護支援専門員などの内、3者以上と共同指導の場合2,000点加算
退院時共同指導加算
(訪問看護ステーションが算定)
6,000円

7. 在宅末期医療総合診療料

末期の悪性腫瘍の患者に対して、在宅療養支援診療所の医師などが、総合的な在宅医療計画を策定し、訪問診療または訪問看護を週4日以上(週1回以上の訪問診療を含めて週4回以上の訪問診療及び訪問看護)行った場合に、1週間を単位として在宅療養支援診療所が、在宅末期医療総合診療料(1日につき)を算定できるもので、院外処方箋を交付した場合は1,495点、院内処方の場合は1,685点を算定できます。
在宅末期医療総合診療料の算定要件となっている訪問看護は、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院と連携を有する訪問看護ステーションと共同で行うことが認められていますが、訪問看護に要する費用は在宅末期医療総合診療料に含まれているため、訪問看護ステーションから訪問看護療養費を請求することはできません。
したがって、在宅療養支援診療所が一括して請求し、訪問看護に要した費用は在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院から支払いを受けることとなります。

8. 在宅寝たきり患者処置指導管理料 1,050点

居宅において療養を行う寝たきり又はこれに準ずる状態の患者が、居宅において患者自ら、又は家族等が処置を行うにあたり、医師が居宅を訪問して処置に関する指導管理を行った場合に、1月に1回を限度として算定するものです。
これらの処置に必要なカテーテル等の費用は、特定保険医療材料料として医療機関が別途算定できるようになっており、またそれ以外の衛生材料、消毒液、カテーテル等は当該点数に含まれているため、これらの処置に要する衛生材料等は医療機関が提供することになっています。

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